
引き続きこんなやつが書いてますよのコーナーです。今回は初の社内生産設備内製が決まるまでの物語(もちろんノンフィクション)
生産技術のお仕事
私が生産技術に配属された当時(2017年度)は以下の仕事が生産技術の仕事内容であった。
- 治工具考案作成
- 作業場のレイアウト改善
- 新規業務の取り込み
- 廃業したプレス業者の仕事の内製化
治工具考案
至ってシンプルなお仕事である。
現場からこんな治具がほしいと言われたら、それに対して図面をかき加工する(全て自分)。このお仕事で汎用旋盤の加工の工夫の仕方や、フライス盤の扱いに慣れていきました。この当時はナスカPROという2DCADを使用していた。このCADがなかなか使いにくい。当時個人的に3DCADであるFusion360を知り、3DCADの魅力を知り始めた自分にとっては少し苦痛であった。よく加工したのは以下のような治具
- Oリング挿入治具
- 逆付防止(ぽかよけ)治具
- 締め付け工具先端/台座
自分にできるかできないか瀬戸際の仕事を上司にふってもらい徐々に成長を実感しました。
後輩ができたらこんな仕事の振り方をしたいなと思った。
作業場のレイアウト改善
機械加工を社内で行っているため、そこでの歩数の最小化などの業務を行っていた。いわゆるボタン押し作業者の動きの最効率化を行っていた。工場のホイストの範囲や柱の位置、電気の取り回しなどを考慮してレイアウト変更を行った。
大人数のために少人数で準備構成をすることの大事さを学んだ。
新規事業の取り込み
これは当時の部長からの宿題のような仕事。お前ら(現場仕事)はうちの子会社に(海外工場)に加工品などどんどん移管を進めるから、仕事なくなるぞ!自分で仕事探せ!という嘘のようなホントの指示があった。今思えば正直この指示で現場のやる気がなくなってきているのかなとか思うが、それはまた別のお話。
新しいことと言われ今社内でやっていなくて、外注にしてもらっているものとして溶接が上がった。年間600万円ほど外注しているとわかったので、とりあえずTIG溶接機を購入して練習練習!講習にも行かせてもらい、配管溶接ができるようになりほんの少しずつだが新しいことを取り込み始めた。
少しずつでもいいので新しいことをすることが大事であることを学んだ。
プレス仕事の内製化
生産技術のお仕事の中で最重要業務はプレスの内製化であった。廃業するプレス業者の装置を引き継ぎ内製化を進めた。廃業については事前通達されていて時間はあったのだがその時は生産技術がなく、メインの内製化担当不在のままあれよあれよとリミットが近づいていた。もちろん初めてのプレス業務の内製に四苦八苦した。プレスだけならまだしもその業者には社内の生産設備を製造してもらっていたので、お抱えの装置屋さんがなくなるという問題も浮上していた。プレスに関しては廃業された業者の社長さんにおしえていただきながらなんとか内製を完了した。(会社として出し渋っていましたが、もちろん技術料を支払いました)
技術は機械ではなく人についていることを再認識した。
きっかけはたまたま
たまたまであった。
たまたまお抱えの設備屋さん(先程のプレス屋さん)が廃業するため、それら生産設備の保全のためにPLCを誰か勉強しないといけなくなった。最初その勉強する人は先輩が指定されていた。先輩は講習に一回行き、二回目の講習に行こうとしていた。
そして、たまたまがもう一度起きた。
二回目の講習に行くはずだった先輩が家庭の事情でいけなくなったため、穴埋めで自分が行くことになった。これまでメインと呼べる仕事がなかった自分にとってはチャンスと思った。先輩が行った一回目の資料を持ち帰り予習した。正直現物がなかったのでよくわからなかった。
そして講習はみんな大好きポリテクセンター。PLCの二回目の講習であったので、比較命令や、BIN BCDなど数値変換 そして7セグに表示するような内容を学んだ。この講習ではPLCの現物があったためとてもわかりやすかった。
実際の講習を受けることの価値を知った。
ないならば作ってしまえホトトギス
ものづくり企業ならでは
ないなら作ってしまえ!
何を作るかというとPLC教育キット
自分が勉強するためにポリテクセンターで勉強したセットを作りたい!と課長に相談したら即オッケーの返答!
早速サーキットプロテクターとPLC本体、照光付スイッチ4つを購入してポリテクセンターでもらった資料と撮影した実機写真の配線を参考にして見様見真似で作り上げた。わからないことがあれば自分で調べる。なにせ、社内に知っている人は誰もいない。
仕事に対して前のめりになること、さらに自分で学んでいく気持ちが大事であることを理解した。
無駄ではない遊び心
出来上がったものは今でも残っているが、正直完成度はとても低い。そこらへんでひろってきた木の板に各機器を木ネジで直付。マークチューブもなかったので、ラベルプリンターで代用。完成度は低くても満足度はとても高かった。なにせ自分で初めて設計(もどき)して作った動きもの。LEDをチカチカさせるだけで楽しかった。
この教育キットを用いて、(メンテ力向上のためと言う言い訳で)遊んだ。業務時間中にPLCの制御でゲームを作り遊びまくった。その時作った瞬発力確認ゲームは以下の仕様で作った。その時思いつく限りで複雑にして、自分の腕をみがいた(つもり)
ゲーム仕様
- ゲームスタートで3つのランプが高速に順々に光る(0.2sずつ)
- 光っているランプのスイッチを押す
- 光っているときに押せたらそのランプが点灯(成功)
- 光っていないときに押したらその時光っていたランプを点滅(失敗)
- いずれかのスイッチを押すと再度ゲームスタート
出来上がったゲームを近くにいたパートさんとかに見せていた。今思うと業務中のパートさんにやってもらうなかなかの勇者(3年目社員)だったかもしれない。
勉強に使った題材はともかくPLCのプログラミングに関しての力は独学ではあったがそれなりについていった。そして何より楽しかった。
仕事における遊び心の大事さを学んだ。
突然舞い降りたお仕事
そんなこんなで、私のメイン役割は設備保全担当になったようだ(中小ではあるあるのふわっと担当ではあるが)。社内の設備はすでに平均20年選手であり、PLC交換やその他メンテは急務であった。古いPLC(FX0〜FX1Sなど)からデータ引っこ抜いては新しいPLCに入れてを繰り返した。
そんな日々を過ごしていたある日、社内生産の製品を海外子会社製造にするプロジェクトが始まった。その中で、当時社内にあった30年ものの検査設備と同等品が必要となった。30年前当時作ってもらった設備屋さんはとうになくなり、別の設備屋さんに作ってもらおうかといった流れになっていた。
ん?ちょっと待てよ、これは社内で設備作りはじめるのにチャンスじゃないか?
- 仕様は決まってる
- 参考設備もある(図面はなかったけども…)
- 規模感も程々(床面積800*500程)
こんなチャンスはないと思い。「これぐらいなら作れますよ!」と勢いよく言ってみたらあれよあれよとその案が採用された。
採用されたらされたで急にプレッシャーがのしかかったが、そのプレッシャーよりできあがったら嬉しいだろうなぁという気持ちが勝っていた。
自分から手を上げた仕事であれば、みな楽しくなるし楽しくできる!と思った。
こうして社内設備を作り始めることになった。果たして初の社内生産設備は無事完成するのか!乞うご期待!
という謎の物語調で今回は終わってみる。
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