前回の続きです。
空圧の制御の要 電磁弁の説明を続けます。
電磁弁について以下に分けて説明を行います。
今回は最後の6について説明をします。
使用電圧の種類
電磁弁を制御するには名前の通り電気の力が必要となります。指定された電気を通電することで電磁弁が作動します。
電気と言っても乾電池やコンセント、リチウムイオン電池に最近ではUSBでの給電など様々ありますが、工場で使用される電気は大きな区分は以下の通りです。
- 交流(AC)制御
- AC100V
- AC200V
- 直流(DC)制御
- DC5V
- DC12V
- DC24V
それぞれに用途がありますが、私のおすすめはDC24Vです。
後述しますが、PLC制御において入出力はDC制御が基本的になります。そのため比較的脳死でDC24Vを選んでも問題はありません。(大規模用PLCでは5Vを選ぶこともあります)しかしそれぞれ存在するわけですので、必要な用途があります。
今回の分類については、各社の中で用途わけされていると思いますが、私の中での基準を記述させていただきます。
交流(AC)制御
そもそも交流電源はどこから取るのでしょうか。
そう、お家にもあるコンセントから取ることができます。
つまり大きな特徴は屋内ならすぐにどこでも取れる電気であることです。
ただし後述の直流(DC)にくらべるとPLC制御をしにくいため、メインとして交流(AC)制御の電磁弁は以下のような用途で使用します。
- 極めて小規模な装置
- 例)スイッチと電磁弁で簡易エアーブロー装置の場合(すべてAC制御)
- 有接点シーケンスで作られた装置
- 例)リレーとスイッチ、タイマーのみで完結するレベルの装置(すべてAC制御)
つまりAC制御はPLCをつかわない小規模な制御で活用しやすいものです。
極めて小規模な装置
例えばスイッチとAC100Vの電源を使って簡易エアーブロー装置を作ってみます。内容はシンプルでコンセント電源とスイッチを電磁弁をつないで、スイッチを押すとAC100V電源が電磁弁にかかりエアーブローをします。
簡単な図にすると以下のようになります。とてもシンプルですね!(保護系統は省略しています)
この制御をわざわざDC24Vでしようとすると。スイッチング電源を介して行わなければならなくなりスペースとお金が余分にかかります。
有接点シーケンスで作られた装置
有接点シーケンスとはリレーやタイマなどを使用している制御する方式です。
昔ながらのリレーの場合は流す電源方式に依存しないので、ACDCどちらでも制御することができます。
そのため、この方式の場合制御電源をACにしていても、特に大きな問題は起きません。
使用電圧(AC)
AC電源は工場にて100Vだけではなく200Vも取ることができますので、取得できる電源に合わせて電圧を選定をします。
ACはコンセント一本から使うことができるので簡単なことをするのにとても便利です!
直流(DC)制御
直流と聞くと、真っ先に乾電池あたりが思い浮かぶと思いますが、FAの世界では交流(AC)電源からスイッチング電源というものを介して直流(DC)を発生させ使用します。
ココまでを聞くと、なんでわざわざ直流に変換するんだと思う方も多いと思いますが、それにはわけがあります。それはPLC制御をしやすい(トランジスタ出力をそのまま使える)という点でDC制御は有利です。
PLCでは事細かに「この出力はAC、この出力はDC….」とかえることはできません(ある程度の領域わけは可能)。そのため出力はどちらか一方をメインで使うといった様に統一することがベストです。
じゃあどちらに統一するかというと、DCの方が良いです。なぜDCなのかを紐解くためにここでPLCの出力方式について簡単に説明します。
PLCの出力方式(番外辺)
PLCの出力方式には大きく分けて以下の2つの方式があります。
- リレー出力方式
- トランジスタ出力方式
リレー出力方式は有接点シーケンスと同様のイメージでコイル作動すると物理的にスイッチがつながる出力方式です。そのためACDC両方で制御可能です。
対してトランジスタ出力方式はトランジスタを用いて電力を増幅することでオンオフを制御する出力方式です。詳しくは別ページで説明するとしてこの出力はACでは使えません。そのためDCのみで制御可能です。
ここまで聞くとリレー出力の方が万能そうだからPLCをリレー出力方式使えばええやんとなりますが、リレー出力方式に比べてトランジスタ出力方式は応答速度と耐久力で圧倒的な有利性があります。
そのため特別な事情がない限りPLCはトランジスタ出力方式を採用します。
PLC制御で直流(DC)を使う理由
長々とPLCの説明をしましたが本題はそこでないので話を巻き戻していきます。なぜPLC制御ではDCに統一するべきかというと以下の通りです。
- PLC制御をする
- PLC制御はトランジスタ出力方式の方がなにかと有利
- トランジスタ出力方式はACを直接制御することができない
- →PLC制御では直流(DC)を使用する
- ACDC混ぜるとややこしくなる
- →直流(DC)に統一する
使用電圧(DC)
主に5V 12V 24Vとありますが、FA業界ではどれも標準的に使用可能な電圧です。
個人的には24Vが一番標準的だと思います。(小規模なPLCだとPLCからとれるサービス電源が24Vであるため)
PLC制御を初めてする場合は24Vのものを使うところから始めれば問題ないと思います。
まとめ
電磁弁の制御に使用できる電源種類は非常に多いですがかんたんにまとめると以下の通りになります。
- 小規模の制御、有接点シーケンス
- →交流(AC)制御
- PLC制御
- →直流(DC)制御
このように使い分ければ非常にすっきりと使い分けることができると思います。
空圧の基礎の話をしていたら知らない間に電気の話に…このように異分野も密接に関わってきます。
何事も全体を把握することが大事なので、ちょっと隣の仕事までてを伸ばしてみるのも勉強になります。
コメント