配線ダクトは制御盤の大半を占める重要な製品です。種類や実際の取り付けについてまとめてみました。
配線ダクトとは
配線ダクトとは制御盤の中(または機械の中)の電線を納めてスッキリさせるものです。制御盤の中板に一般的に配置し、電線を内部に格納後専用の蓋をします。配線をスッキリさせる方法として他に結束バンドでとめる方法がありますが、それぞれに特徴と効果的な使い分けがあります。
結束バンドとの比較
結束バンドは引っ張るだけでわっかをつくり、電線をまとめることができます。電線をまとめる方法ということでは配線ダクトと同様の機能ですが、再配線性とスペースの2つの観点から特徴をまとめることができます。
結束バンドの特徴
結束バンドはなんと言っても手軽さが段違いです。必要な箇所の電線を簡単にまとめることができます。そしてとても安価です。マウントベースと組み合わせることで機械や盤内の壁などに沿わせることができます。ただし、電線の増減などやり直しを行う場合、一度結束バンドを切り離さなければならない点が面倒なポイントでもあります。また、必要なスペースを設置時に確保するだけでいいので、結束バンドによる電線のまとめはスペースが確保できない時の方法としては最適です。
配線ダクトの特徴
配線ダクトの大きな特徴はなんと言っても再配線のしやすさです。ハサミやニッパーなどを電線をまとめるたびに使用する結束バンドと違い、側面の穴から通した後、配線ダクト内に電線を通すだけで電線のまとめが終了します。
※追加で必要な箇所に結束バンドする場合もあります。
制御盤内だけでなく、機械の内部で電線が大量に通過し出入りするような場所にも重宝されます。ただし結束バンドと異なりダクト分大きなスペースを有する必要があり、小型の制御盤などでは制御機器と同等くらいのスペースを食っていしまうこともあります。
配線しやすさ | 再配線のしやすさ | 必要なスペース | |
---|---|---|---|
配線ダクト | ○ | ○ | △(多い) |
結束バンド | △ | △(切る必要あり) | ○(省スペース) |
2つの使い分け
まずは制御盤の大きさと、内部機器の大きさを比較します。制御盤の大きさを取れる場合は基本的に配線ダクトを用いることをおすすめします。前述の通り、配線ダクトの再配線性の高さは配線する際、メンテする際ともに大きなメリットとなります。あとは配線ダクトではどうしようもない部分や、制御盤の大きさ上配線ダクトを設置できない場合は結束バンド(+マウントベース)を用います。例えば、制御盤表面スイッチなどの配線は大きな変更がない場合が多いので、結束バンドを使用する場合が多いです。
機械の配線でも同様にスペースが有れば基本的に配線ダクトを用い、線数が少ないまたはスペースがない場合は結束バンドを用いるのが良いです。(機械の配線については、機械設計者との兼ね合いもあります)
配線ダクトの種類と選定
配線ダクトには大きく分けて3つの要素があります。選定方法としては以下の方法ですすめます。
- 側面形状
- 奥行き高さ
- 電線量
側面形状
配線ダクトには3つの形状があります。側面から配線を出す部分が通常形状(長方形)のもの。蓋近辺に溝が入っているもの、切れているものである。最初から切れているものは配線しやすいですが、蓋が閉めにくい弱点もあります。そのため、特に何もなければ通常の配線ダクトが使いやすいと思います。配線になれていない場合は切れ込み付きまたは切れているものを選んでも良いと思います。
奥行き高さ
配線ダクトの奥行き高さは一つの制御盤内では基本的に統一すると見た目がきれいになります。配線ダクトの奥行き高さを高くしすぎると機器への配線性が下がるので、設置する機器に合わせて設定します。逆に低くしすぎると電線の収容量が低下してしまいます。FA制御盤では私は基本的に60mm80mmあたりの高さを使用しています。
電線量
奥行き高さを選定後に意識するのがが配線量です。配線ダクトに入る電線の量は2sqが何本入るのかでメーカー記載がありますので、そちらを参考に残りの配線ダクトの高さを選定します。配線ダクトにパンパンに入れるのは御法度(発熱等)なので面積換算で30%程度の埋まり具合が理想的です。
配線ダクトの設置方法
切断
ニッパーやハサミを駆使すれば切れないことはないですが、なかなか厳しいです。最低限専用のモールカッターを使用しましよう。切断後、蓋取付部の角に角が立つのでヤスリや切れ味の良いニッパーなどで角を落としましょう。
取り付け
取り付けはネジ止めが一般的です。中板に止める際はネジ止めをします。穴を開けにくい場所は両面テープタイプを使用します。ネジで止める場合は止めた後ネジ部分を養生すると電線に引っかかりを防止することができます。私は電線の引っかかり防止でトラスネジを使用しています。
側面の切断
T時部分を作成するとき、側面の切断を行います。先に切断を行っておくことが望ましいです。専用の配線ダクトカッターがあれば設置後に現物合わせで切断することも可能です。
角配置のコツ
中板に配線ダクトを取り付ける際、中板面積を十分に使用したいものです。その際、中板角部はどうしても中板取り付けボルトが必要なため配線ダクトを設置できません。その場合角には配線ダクトは設置せず、配線ダクトの蓋のみを伸ばす手法が一般的です。このようにすると、角部分の配線をしっかり隠せると同時に、中板の着脱を行うことができます。
配線をまとめるだけといえばだけですが、制御盤の大半を占める配線ダクトについてまとめました。配線ダクトの設置の役に立てば幸いです。ブイズ設計事務所では以上のような点に注意して設計を行っています。
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