制御の基本である有接点シーケンスには電磁リレーについて理解していることが必須です。基本をしっかり抑えましょう。
電磁リレーとは
電磁リレーとは電磁力の力を用いて接点をつけたりはなしたりすることができます。物理スイッチをイメージすると
コイルに電気を流す=スイッチを押す
というのと同等です。
動作 | 電磁リレー | スイッチ |
---|---|---|
接点動作方法 | コイルの通電 | 物理的に押す |
接点 | 接点接触(a接点の場合) | 接点接触(a接点の場合) |
コイルの種類
コイルには定格電圧があり、その定格電圧で通電することでコイルが作動し、接点がついたりはなれたりします。このときAC用やDC用電圧違いなど様々あるので注意が必要です。定格電流はP=EIより電圧Eが高いほど電流Iは低くなります。
接点の種類
接点は基本的にc接点(a接点とb接点の組み合わせ)になります。
接点数
接点数は製品により一般的に1c(1つのc接点)〜4cまであります。制御点数が多くなるほど製品サイズが大きくなったり、1接点あたりの定格通電電流が小さくなります。
定格通電電流
定格通電電流とは流すことのできる最大の電流の大きさを示しています。1接点を流れる電流の大きさは定格通電電流以下にしましょう。必要があれば、製品サイズを大きくしたり(種類の変更)接点数を少なくすることで接点容量を増やすことができます。
電気回路図の見方
前回の記事で小学生ぐらいのときに見た電気回路図で説明をしましたが、実用的な説明をするためにこれを実際の電気回路図に記述し直してみます。
上記の回路は下記のような表現になります。※プラスマイナス逆になっていますが、このように表現したほうが後々良いので逆にしています。
左右に電源線を記述しています。これを電源母線といい、今回の場合左に0V 右に24Vの母線があります。
この母線を渡って単純に24V用のランプがつけられていればランプが点灯します。
前回の記事で並列になっていたランプは母線をわたる複数の24Vランプを記述することで表現することができます。下記はどちらもスイッチを押している間2つのランプが同時に点灯する回路を示しています。
またスイッチ2つを用いてそれぞれ2つのランプを光らせる回路も以下のように記述することができます。
このように制御内容を増やしていくと、電源に対して多数並列につなぐこととなるため、このような表現を使用すると考えてください。
電気回路図におけるスイッチの書き方
スイッチを押すことで電気回路図内の棒が上に動くイメージを持ってください。そのためb接点のスイッチは以下の様の記述します。スイッチを押すことで棒が動き接点が剥がれます。
電磁リレーの用途
話を電磁リレーにもどします。リレーは以下のように電気図面では表現します。
ただしこの記述方法では入り組んだ回路を記述することができないので、実用の回路上は以下のように記号を用いて記述します。
上記のようにコイル部、接点部を表記します。以上を考慮し電磁リレーの用途について説明します。
電源系統の分岐
メインで24V制御である回路で100Vの機器を制御しなければならないとき下記のような回路を作成することで実現することができます。最初なのでリレーの動きを確認します。
- スイッチを押し接点を閉じる
- 24V電源間が通電する
- リレーが作動する
- リレーa接点が閉じる
- 100V電源間が通電する(LN間通電)
- 100V用ランプが点灯する
このように24V電源から100Vの電源を制御することができました。以下のような用途で使用します。
- 制御系統は24Vで統一して、少ないAC100V系統の制御をリレーで行うとき
- 装置の改造、追加時に機器の電源を別系統から取りたいとき
接点の増幅
スイッチの接点には限りがあります。その接点を増やすことに使用することができます。下記のような回路で実現することができます。
スイッチをひとつ押すことで3つのランプを点灯させることができます。
※このような単純な回路の場合は以下のような回路でも成り立たせることができますが、複雑な回路を組む場合は接点数が必要となることもあります。
出力の反転
a接点のスイッチをb接点に変更することができます。
スイッチを押してない状態でランプが点灯し、スイッチを押すとランプが消灯します。
※こちらのも下記のようなb接点のスイッチを使用することで同様の制御は可能であるが、複雑な回路で接点の逆転をしたい際によく使用します。
自己保持などの制御
リレーを用いた制御は様々存在するがこの自己保持制御が一番大事で多用する制御です。ここでは代表の自己保持回路を説明します。
自己保持回路とモメンタリスイッチによるランプのオンオフ
下記のような回路について考えてみます。
この回路はBS1(Button Switch1)を押すとSL(Signal Lamp)が点灯し保持されます。そしてBS2を押すとSLが消灯します。以下のように順番に考えてみましょう。
- スイッチを押し接点を閉じる
- 24V電源間のリレーが通電する
- リレーが作動する
- リレーa接点が閉じる
- リレーの電源間とランプの電源間が通電する
- 24V用ランプが点灯する
このようにランプが光ります。
ここでBS1を押すのをやめてみます。押すのをやめてもR-a1がリレーへの通電をキープしています。
そして最後にb接点のスイッチBS2を押すことでリレーコイルへの通電が切れランプが消灯します。
このように通電をキープする回路を自己保持回路といいます。領域ごとの意味合いを下記に示します。
例えば起動トリガーにスイッチや起動に必要なセンサー条件などを記述し、キープ解除部に停止スイッチのどの停止要件を記述します。
実際の配線
最後にリレーの実際の配線について見ていきます。今回はメインで使用するDC24V仕様で2c接点について見ていきます。少し見にくいですが以下のような接点構成となります。
コイル | a1 | b1 | a2 | b2 |
---|---|---|---|---|
13-14(極性±あり) | 5-9 | 1-9 | 8-12 | 4-12 |
一般的なソケットは以下のようなものになります。このソケットにリレーをつなげて実際には使用します。このソケットはDINレールと言う取付具に簡単につけることができます。各ソケットの接点番号は以下のような配列になっています。一列に同一の接点をもち、コイル部は下部に固まっています。
ここで説明した電磁リレーが有接点シーケンスの制御の要となります。可能であればリレーとスイッチング電源ランプを購入して、自分で回路を組んでみると理解が深まります!
コメント