有接点シーケンスについて何であるのかを#1制御回路で学びました。電気の知識は全くないから自分は無理だな…っという人でもFA設備制御における電気はそこまで難しくはないのでチャレンジしてみましょう!
まずはオームの法則
中学生で学んだオームの法則覚えていますか?オームの法則は下記回路図における電圧E(V)、電流I(A)、抵抗R(Ω)の関係を以下の式で表しています。
E=RI
感覚を掴みましょう。よくある例えですが滝の水をイメージしてください。
電圧を水の高さ、電流を滝の流量(流れてる液体の量時間あたりの量)、抵抗を滝の入り口の開口度とします。
それぞれの関係を今のイメージで説明してみます。
- 電源電圧によって水が組み上げられます
- 抵抗にて制限された水が滝となり落ちます
- その時の流れる流量イメージが電流です
例をいくつか挙げてみます。
V=一定 R大きく
電源電圧一定で抵抗が高くなると電流が小さくなります。
滝に置き換えると水の高さ一定で滝の開口度が下がるので流量が下がります。
V=一定 I大きく
電源電圧一定で電流が大きくなっていると、結果的に抵抗が下がっていることになります。
同様に滝に置き換えると水の高さ一定で滝の流量が増えているということは滝の開口度が大きくなっている(抵抗が下っている)ことになります。
とてもかんたんですね!
FA設備でのオームの法則の使い方
オームの法則の雰囲気は軽くつかめたと思うので、現実的な話をします。FA設備では概ね制御はDC24Vで行われます。この電源をスイッチング電源と呼び、大きさによって最大で流すことのできる電流が決まっています。身近なものだとノートパソコンの電源を見てください。DC〇〇V □□Aと描いてあると思います。それと同じことをしてDC24Vの電源を手に入れています。
一つのランプを光らせる
この電源を使って24V電源用のランプを光らせて見ます。まずは直接つないでみます。
直接つなぐと24Vの電源電圧が直接ランプに印加されます。このとき24V電源専用のランプは24V電源電圧が印加されると光るように内部に抵抗が仕込まれています。そのため特に何も考えずにランプを光らせることができます。
ランプについて少し詳しく説明します。ランプを光らせるには適正な一定の値の電流を流す必要があります。24V用の電源用に抵抗を内部に結線することによってランプ本体に流れる電流をある一定の値(定格電流)にしています。
2つのランプを光らせる
この電源を用いて24V用のランプを2つ光らせます。つなぎ方は単純に以下の2つになります(この2つを直列/並列といいます)。どちらが正解でしょうか。
もちろん並列が正解です。なぜかを少し詳しく説明します。
滝の話を少し持ってきます。直列の場合は2つのランプそれぞれにかかる滝の高さがかわります。(下がるので一つ当りにかかる電圧半減)そのため滝入り口の開口度一定(抵抗一定)のため流量が下がります。(電流が小さくなる)
24Vのランプは特定の一定電流が必要なため、直列につないでしまうと、電流が小さくなり光りません(または光が弱くなります)
並列の場合は2つのランプにかかる滝の高さが同じです。(一定なので24Vそのままがランプにかかります。)そのため滝入り口の開口度一定(抵抗一定)のため流量は一つつないでいるときとかわらず(適正な電流)ランプは規定通り光ります。
FA設備での許容電流
各機器や電線には許容電流という、流せる限界の電流があります。
ランプに流れる電流
先程一定の電流という話をしたが、その電流は光らせるランプの種類によります。ランプのカタログを見ると電流値が書いてあったり、消費電力として記述されていることもあります。消費電力に関しては以下の式が成り立ちます。
P=EI (消費電力=印加電圧✕電流)
このランプのカタログには直接電流値が乗っているので定格電圧24Vを与えると12mA(色により5mA)流れます。
これ以外に例えば電磁弁と呼ばれる空気圧を制御する弁のコイルの消費電力を見てみます。
消費電力が0.35WのためE=24Vを代入すると電流が14.6mAと出ます。これが回路上に流れる電流です。
ちなみに並列でランプを光らせたり、電磁弁を作動させると電源部分に流れる電流はそれぞれのランプに流れる電流の和になります。
電流から各機器の選定
例えば電流が流れるスイッチの接点などこれらの機器には流せる電流の上限(許容電流)があります。そのため、スイッチの接点を流れる電流は許容電流以下にする必要があります。
その許容電流は各機器によって決まっています。カタログを参照しましょう。
電流から電線の選定
電源、スイッチ、ランプをつなげて以下のような回路を作ります。
回路を作るにはそれぞれをつなげる電線が必要です。その電線にも流せる電流の上限である許容電流があります。電線を流れる電流は許容電流以下にする必要があります。
許容電流の値については各電線のカタログを参照してください。基本的に導電断面積(AWGサイズ)が大きいと許容電流も大きくなります。また、同じ導電面積でも被覆の材質や集合配線によって許容電流は変わってくるので、しっかり選定する必要があります。代表される電線の許容電流の参考値を記します。
どうして許容電流があるのか?電線には抵抗(R)があります。その抵抗値は非常に低いので基本的には無視しますが、熱として消費されます(P=EI=RI²より)また抵抗の値は導電面積に反比例するため、面積が大きいほど抵抗値が下がり結果的に熱の発生が下がります。そのため許容電流が高くなるというからくりです。ちなみに外気温が高い場合は許容電流はもちろん下がります。
FA設備での耐電圧
各機器や電線には絶縁電圧という、かけることのできる電圧の上限があります。
電圧からの各機器の選定
スイッチなどの接点には耐電圧があります。それ以下の電圧を使用しましょう。カタログに明記されているので必ず確認して選定をします。
電圧からの電線の選定
電線も同様に絶縁電圧があります。それ以下の電圧を使用しましょう。こちらも同様にカタログに明記されているので必ず確認して選定をします。
どうして絶縁電圧があるのか?電圧が高くなると、同じ抵抗に対して電流が流れやすくなります。電線の周りには絶縁被覆が巻かれていますが、抵抗値には上限があります。
スイッチでのランプ制御
スイッチを押したときだけランプをひからせる制御をしてみます。回路は以下のようになります。
この場合スイッチはモメンタリタイプを使用します。そのためスイッチを押すことによってランプが点灯し、スイッチから指を離したら断線してランプが消灯します。
では、指を離した状態でランプを点灯させたままにするにはどうすれば良いでしょうか。
単純に考えればモメンタリタイプのスイッチをオルタネイトタイプのスイッチに変えることによって一度押すと点灯、もう一度押すと消灯という制御ができます。
このように簡単にランプの光を保持することができますが、この方式には元電源が再投入されたときにランプがついてしまうという弱点があります。
この弱点をカバーする制御ができるのが次に説明する自己保持回路です。自己保持回路には電磁リレーを用います。この自己保持回路を理解することで様々な回路を表現することができますので、お楽しみに。
とりあえずランプをスイッチを用いて光らせることができるようになりました!(手動制御)次は電磁リレーを用いて少し複雑な制御を行っていきます!
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