生産設備設計には欠かせないフェールセーフの考え方をランプの点灯方法から学びます。
フェールセーフとは
フェールセーフとは装置が誤動作や故障した際につねに安全側に制御を行うことです。装置は故障するという前提のもとに装置設計を行います。例えば停電や断線から復帰後の動作の安全性や、過剰動作(過剰加熱や過剰回転速度など)を防止する制御がフェールセーフとなります。文言だけだとよくわからないのでランプを使った例を用いて停電からの復帰動作のフェールセーフについて説明をします。
スイッチを使いランプを点灯させ続ける方法
スイッチを押すことでランプを点灯させ続ける制御は以下の2種類の方法が簡単に思いつきます。
- オルタネイトスイッチを用いる
- モメンタリスイッチと自己保持回路を用いる
オルタネイトスイッチを用いる
オルタネイトスイッチを用いてランプ点灯を保持するには以下のような回路を使用します。スイッチが押された場合オルタネイトスイッチはそのまま閉じられた状態で保持されます。スイッチによってランプへの回路がしまった状態が保持されるのでランプは一度ついたらそのまま点灯が保持されます。
回路が非常に単純で一番シンプルな方法となります。ついている状態でオルタネイトスイッチをもう一度押すとランプは消灯します。
オルタネイトとモメンタリの表記わけ
自己復帰する接点の根本には△表記、自己復帰しない接点には○表記をします。今回の場合だとオルタネイトの場合は自己復帰しないので○表記されていることがわかります。
自己保持回路を用いる
モメンタリスイッチと電磁リレーを用いた自己保持回路でランプの点灯を保持する回路を考えます。以下のような回路となるでしょう。
前回記事同様説明を下記に示します。
- スイッチ(BS1)を押し接点を閉じる
- 24V電源間のリレーが通電する
- リレーが作動する
- リレーa接点が閉じる
- リレーの電源間とランプの電源間が通電する
- 24V用ランプが点灯する
スイッチ(BS1)を離してもR-a1側からリレーの通電がキープされランプは点灯したままの状態にすることができます。そしてスイッチ(BS2)を押すことで電磁リレーのキープが解除されランプが消灯します。
停電時の各方法の違い
各方法の大きな違いはこの回路自体の停電時に表れます。停電時を擬似的に回路上で表現してみます。
オルタネイトスイッチを用いた場合
下記のように点灯させた状態の時にどこかで断線や電源供給が止まるとランプは消灯します。
この場合、電源が復旧したときオルタネイトスイッチはONの状態のままのため(閉路した状態のため)ランプは再度点灯します。
自己保持回路を用いる場合
下記のように点灯させた状態の時にどこかで断線や電源供給が止まると、先程と同様にランプは消灯します。
この場合、電源が復旧しても各接点はOFFの状態のままのため(リレーのキープが解除され、接点が開いた状態のため)ランプは消灯します。
つまりどちらがフェールセーフ?
フェールセーフは安全側になるようにする制御であるので、つまり電源再投入の際にランプが消灯する自己保持回路を用いた場合が安全側になる制御であるフェールセーフです。そのため簡易的な装置でない限り、起動などの部分でオルタネイトスイッチは使用しないほうが懸命です。
オルタネイトスイッチを使うとすれば何かの設定をONOFFにするなどの用途で使用することが望まれます。
今回はランプで表現したので、電源再投入時にランプが点灯するだけで大きな問題は有りませんが、これがモーターなどのような、動作を行うものであると非常に危険です。
そのため、電源再投入時に現在の回路がどのように動くのかを確認し危険性がないような回路を組む必要があります。
【番外編】身近な家電で起動方法を比較してみる
身近な家電で起動している状態で電源コードを抜いたときの動作を見てみましょう。
以下表にまとめてみました。(一般的な動作をかきましたので物によってことなります)
投入時動作有り | ドライヤー、冷蔵庫 等 |
投入時動作無し | PC、掃除機、電子レンジ 等 |
お家にある家電製品で電源再投入でどのような動作をするか見てみましょう!
起動方法の違いによって再起動時の動作が変わることがわかりましたね。
生産設備では回転部分や押し出し動作など、電源動作時に急に動くことは非常に危険です。このようなことまで考えて制御を組み立てる必要があります。
コメント