工場管理関連の本を色々読む前にLITTLE BIG WORKSHOPというゲームをやることをおすすめする謎の記事です。
LITTLE BIG WORKSHOPとは
小さな工場管理ゲームです。最初は簡単な組立作業しかできない工場から始まります。利益を上げて新規の設備を新たに入れたり、工場の敷地を広くしてどんどん規模を大きくしていき高収益を得て地域ナンバーワンを目指すゲームです。
なぜゲームが工場管理の勉強になる?
このゲームの肝は「ものを実際に自分が作るわけではない」ということである。
じゃあ誰が作るかというと自動的に従順に動いてくれる従業員。つまり自分の仕事はその従業員にどの様に仕事をしてもらうのかを大まかに指示することである。つまり工場を管理するのがお仕事となる。実際の業務内容的にはある会社にとっては経営者、ある会社にとっては生産管理者、そしてある会社にとっては現場の生産調整者のようなお仕事を体感することができる。
実際にやってみて勉強になった点
実際にやってみてとても勉強になった。本を読んで勉強になったと言うことはよくあるが、今回の場合はある意味本当に小さな工場を擬似的に経営しているので、実践的に学べることがとてもいい点である。
ものは床置きしない
工場作業場の鉄則。重ねることができるものは棚などを設置し重ねて管理する。空間の有効活用ができるからである。ゲームの概念的に素材や部品、完成品は置く棚がなければ床に置くことになる。このゲームよくできているのが、床に物を置くとそこを通る人の動きが遅くなる。現実に置き換えても同様である。原則ものは床置きしない!
※ただし、棚に置けない大物は床置きできる場所を確保しなければならないところが中小規模工場の在庫管理と似ているところではある。
通路はしっかり確保
通路の進行しやすさという概念が存在し、ものがたくさん周りに置かれていると通行しにくくなる。(ものの上を通行するときと同様に遅くなる)こちらも現実に近い概念である。しっかりと通路を確保しておくことが重要であることを示している。更に細かく分析すると、あまり使用しない通路は細くても問題ないが、よく行来する通路をしっかり確保することが重要であることがわかる(遅延時間✕回数分の時間ロスが生じるため)。
ものを置く区画は自分で決めることになるので、2Sをしろ!と現場に言うだけではなく、2Sができる環境を自分で作り上げることも必要であることが学べる。
従業員の人数と設備
授業員の人数は調整することができる。増やしたり減らしたりすることができるが、もちろん人を増やすと賃金(工場的には出費)が必要になる。増えた人員をもとに作業を割り振ることになるが、人を効率的に使用しようとすると、それに付随する設備(作業台など)が必要となる。つまり、増産体制を取るにあたって、人に対する投資と設備に対する投資の両輪をしっかり回す必要があるということを学ぶことができる。どちらかだけを行っても、費用が増えるだけか、または最大効率化を図ることができないのである。
小さな工場で大量の仕掛りは命取り
最初とても小さな工場から始まるが、このときに大量の製品を一気に作ろうとすると、作業工程が多い製品だと仕掛り品が大量に生成される。大量に生成された仕掛品で棚が溢れかえってしまうのである。規模感に合わせた生産を行う必要があることが学べる。(ゲームの機能でパッチ生産という少量づつ生産する方法からも、生産方法を考える力をつけることができる)
専用の置き場指定
このゲームは部品を納入して、加工組立を繰り返し最終製品にしていく。特に指定しない場合はその生産活動において発生したものはとりあえず近くの棚に格納される。この棚(置き場)は以下の3つの置き方概念がある
- フリー置き場
何も指定されていない置き場、何も指定されなければ近くのフリー置き場に物が置かれる - 設備専用部品置き場
特定の設備に紐付けすることができる置き場、設備の近くに置き場を指定することで作業員の歩数を削減することができる - 完成品置き場
完成品専用の置き場、工場の出入り口近辺にまとめることで出荷をまとめることができる
置き場の役割をしっかり場所に合わせて管理する事の大事さを学ぶことができる。
※ちなみにこの工場はフリーロケーションシステムに準拠しているため、本来はどこになにかあるのかを把握するシステムが必要だが、在庫がどこにあるのかは作業員はしっかり把握しているので現実(ものがどこにあるのかわからない問題)よりは優しめである。
手動作業と専用機械
最初はお金がないため、効率が悪いが手動の作業机を使用する。作業机は小さなスペースで様々なことができる。そのため、工場の小さなときはスペースの問題も相まってこの汎用性のある作業机を使用することになる。お金が溜まってくると作業効率の良い専用機械を購入することができるが、様々な作業をやろうとすると各専用機械が必要となりスペースを大きく消費してしまう(作業机では6種できるが専用機械は基本的に1種)。
作業環境
工場の中が加工機ばかりだと作業員は(私は喜びますが)不満を言い出します。ゲーム内では、観葉植物やゲーム台(笑)を置くことによって環境を改善することができます。まあ、このあたりを現実に置き換えると、床面や壁面などの細かな見た目なども作業員のモチベーションに関わってくることだということが学べます。
休憩所の必要性
作業員は24時間1勤制で働きます。24時間ノンストップのブラック企業の社員たちを動かすことになります(笑)
というギャグは置いといて、作業員はロボットではないため疲れます。疲れると最終的に倒れます。倒れるのを防止するためには休憩所をしっかり配置する必要があります。現実に置き換えると、作業場が少ないから休憩所をどんどん狭くしている会社さんでは作業員が倒れてしまうかもしれませんね?そんなことはないにせよ、作業員の安全が第一です。
作業員と運送員
このゲームでは組立加工をメインで担当する作業員と物の運搬をメインで行う運送員の大きく分けて2種類の人員がいる。規模が小さいうちは両作業とも一人で行っていても問題はあまりないが、規模がでかくなるに連れて工場内の運搬の作業がどうしても散見される。そこで運搬専門の運送員を活用し工場全体の効率化を図ることができる。現実に置き換えても、小規模から規模を上げていくときに運送員を活用することで工場全体の効率化につながる可能性があることが学べます。
予防保全の重要性
使用している設備は使用することで劣化していくため、適宜修理をする必要がある。壊れる前に修理をしないと設備が壊れたときに一定時間使うことができなくなってしまう。納期がせまった商品を作っているときに壊れると納期を守ることができなくなってしまうのである。納期に確実に間に合わせるために、適宜修理を挟む重要性が学べる。
※ただし、このゲームでは劣化具合を数値化して見えているため予防保全ができている。現実的には完全な数値化は難しい。(お金をかければできる部分もある)このことからも、修理に関してはある一定の期間/一定の生産量/一定の稼働時間ごとの点検修理を心がけることが、とても大事である。
長時間やってみて勉強になった点
おそらくこのゲームを20時間ほどやった私が、中盤後半で学んだ点を以下のように挙げてみた。
納期管理対応
生産する品目の中には納期が厳しく決められているものがある。ものによっては納期が甘々なものもあるため、この両方の納期のバランスが難しい。ある製品を最速で作ろうと思うと、工場全体の効率が下がってしまう場合も多発してしまう。最速で作るということは、他の生産を犠牲にしてしまう可能性があることが学べます。
作業工程の考え方/汎用ラインor専用ライン
工場規模が大きくなってくると、工程数が多い製品を作ることになる。このときどのようにラインを組むかを考えることになる。大まかには以下の2つの考え方となる。
- 汎用ライン
- 専用ライン
汎用ラインはいわゆる近い作業をまとめてライン化する方法です。このゲームだと木工加工や金属加工それぞれをまとめて、いろいろな製品を作るために汎用的に設備を使用する方法です。
それに対して専用ラインはある製品を作るために必要な設備を一箇所に固め、他の製品を作ることには使用しない生産方法です。
専用ラインの方が作業員の歩数を減らすことができるため、より効率的なラインを組むことができますが、その製品が廃盤になるときに(ゲーム的にも作りすぎると売れなくなっていきます)大幅な組替をする必要があるという問題がある。
作業管理システムの重要性
例えばある製品の納期が間近だとします。そうなれば工場の運営者としてどこの工程に時間がかかっているかを確認するはずです。リアルの工場ではしばしば現場におもむきどのような状態かを確認しに行くことになるでしょう。いわゆるネック工程の抽出作業です。
しかしこのゲームにおいては、各装置が今行う作業次行う作業/それにおおよそどれくらいかかるかがひと目でわかる、かつ作業の再割り振りが簡単にできるのである。
ゲームをやっているときはあまり感じなかったが、リアルの工場を考えたときにここのITシステム化をしっかりしないと、工場運営においてとても不便である。システムがしっかりしているからこそ、数値的根拠を元にライン変更など改善活動につなげることができるのだと感じた。
学びの多いゲーム
とつらつら並べましが、とにかく工場関係のお仕事をしている人は皆プレイ必須です!やったほうが楽しく勉強もできます!
お家に帰ったんだから工場で働きたくないというあなた!そんなあなたも工場で働くのが楽しくなる!(かもしれない!)
ちなみにPC版/スイッチ版/PS4版など多彩なハードに対応しているので、是非興味ある方は一度やってみてください!
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