FA(Factory Automation)業界でよく使用されるねじ、ボルトについてまとめてみました。
ねじの種類
ねじの種類は多様にあります。一般的な十字が切られた小ねじや六角頭のねじ、その他特殊なねじを含めると数多くのねじ種があります。なぜそのような種類が必要かというと、それぞれの特徴(メリット、デメリット)があり、それに合わせて使い分けるためだと言うことができます。色々なネジをあげながら、それぞれの特徴と使い分けについて示していきたいと思います。
※それぞれのねじについて参考寸法を記載しています。よび長さ(推奨)は一般的に入手しやすいサイズとなります。よび長さ(ミスミ)はミスミに登録されている製品の寸法となります。あまりにも長いサイズは存在はしますが非常に高価であるため使用を避けることをおすすめします。
小ねじ
一般的に家庭で見ることのあるねじはこの小ねじです。小ねじはねじ径8mm以下でよく使用されるねじです。頭にプラス(+/十字穴)やマイナス(−/すりわり)の溝がありそれにドライバーを当てて使用します。ドライバーで締め込むことが想定されるため、ねじの上方部にスペースが必要となります。
小ねじにはたくさんの細かな種類がありそれぞれの特徴に合わせて使い分けることができます。
なべ小ねじ
最も多く使用されているねじで、ねじ頭が丸みを帯びている形状のねじです。ドライバーヘッドにしっかり食い込んで締め込むことができます。
用途は様々なので、とりあえず困ったらなべ小ねじといった使い方で問題はありません。流通量が多いため安価に手配することができます。
呼び径 | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
頭部径 | 3.5 | 4.5 | 5.5 | 7 | 9 | 10.5 | 14 |
頭部高さ | 1.3 | 1.7 | 2 | 2.6 | 3.3 | 3.9 | 5.2 |
よび長さ(推奨) | 4-20 | 5-30 | 5-40 | 6-50 | 8-50 | 8-60 | 10-60 |
よび長さ(ミスミ) | 2-50 | 3-50 | 3-250 | 3-450 | 4-500 | 5-500 | 8-350 |
ドライバー規格 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 |
皿小ねじ
ねじ頭上部が平でかつ、ねじ座面側が円錐形のねじです。選定時は、よび長さが一般的なねじのねじの長さではなく全長であることに注意する必要があります。
用途は、ねじ頭が飛び出してほしくない場合によく使用されます。(蝶番/L字金具/凹凸が許されないカバーなど)その場合は締結する部材側を皿もみ(ザグリ加工)する必要があります。
呼び径 | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
頭部径 | 4 | 5 | 6 | 8 | 10 | 12 | 16 |
頭部高さ | 1.2 | 1.45 | 1.75 | 2.3 | 2.8 | 3.4 | 4.4 |
よび長さ(推奨) | 5-20 | 6-30 | 6-40 | 8-50 | 10-50 | 12-60 | 14-60 |
よび長さ(ミスミ) | 2.5-50 | 3-30 | 3-250 | 4-250 | 5-250 | 6-250 | 10-150 |
ドライバー規格 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 |
小頭皿小ねじ
皿小ねじのねじ頭の径を小さくしたねじです。
用途として、小さなザグリ加工で使用できるため、薄い板の締結や狭い空間で頭を飛び出させたくない場合に使用します。ただし、座面の面積が小さいため強い締付け力は期待できません。
呼び径 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
---|---|---|---|---|---|
頭部径 | 5 | 6 | 8 | 10 | 12 |
頭部高さ | 1.3 | 1.4 | 1.9 | 2.4 | 2.6 |
よび長さ(推奨) | 4-20 | 4-50 | 6-50 | 8-50 | 12-50 |
よび長さ(ミスミ) | 4-25 | 4-80 | 6-80 | 6-60 | 10-50 |
ドライバー規格 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 |
丸皿小ねじ
全体的には皿小ねじと同様ですが、ねじ頭上部が少し丸みを帯びているねじです。
用途としてFA業界では見た目重視のカバーの締結部分で使用されるケースがあります。
呼び径 | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
頭部径 | 4 | 5 | 6 | 8 | 10 | 12 | 16 |
頭部高さ | 1.6 | 2 | 2.45 | 3.2 | 4 | 4.8 | 6.2 |
よび長さ(推奨) | 5-20 | 6-12 | 6-40 | 8-50 | 10-50 | 12-60 | 14-60 |
よび長さ(ミスミ) | 3-30 | 4-12 | 4-50 | 5-100 | 6-75 | 8-80 | 12-100 |
ドライバー規格 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 |
トラス小ねじ
ねじ頭上部が球を切り取ったような形をしていてねじ座面側が平らなねじです。一般的になべ小ねじより大きな座面を持っているため、ワッシャーなしでも締結力を維持、安定化させることができます。
用途として樹脂部品などめり込みのある部品の締結時にワッシャーなしで低頭で締め付けることができます。その他見た目で選定されるケースもありますが、他のねじと比べて座面積を取る点に注意する必要があります。
呼び径 | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
頭部径 | 4.5 | 5.7 | 6.9 | 9.4 | 11.8 | 14 | 17.8 |
頭部高さ | 1.2 | 1.5 | 1.9 | 2.5 | 3.1 | 3.7 | 4.8 |
よび長さ(推奨) | 4-20 | 5-20 | 5-40 | 6-50 | 8-50 | 8-60 | 10-60 |
よび長さ(ミスミ) | 2-20 | 2-20 | 3-60 | 3-100 | 4-100 | 6-200 | 8-150 |
ドライバー規格 | 1 | 1 | 1 | 2 | 2 | 3 | 3 |
バインド小ねじ
ネジ頭が台形ななべ小ねじ。座面の径が少し大きく加えて座面にくぼみがあることが特徴です。
用途として電線の締付けによく使用されます。
呼び径 | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
頭部径 | 4.3 | 5.3 | 6.3 | 8.3 | 10.3 | 12.4 | 16.4 |
頭部高さ | 1.2 | 1.5 | 1.9 | 2.5 | 3.1 | 3.7 | 4.8 |
よび長さ(推奨) | 4-20 | 5-30 | 5-40 | 6-50 | 8-50 | 8-60 | 10-60 |
よび長さ(ミスミ) | 2-25 | 3-30 | 3-50 | 3-100 | 5-100 | 6-75 | 8-75 |
ドライバー規格 | 1 | 1 | 2 | 2 | 2 | 3 | 3 |
アプセット小ねじ
六角と十字穴がついているねじ。通常タイプとフランジ付きタイプの2種類があります。複数の工具(六角レンチ/モンキー/ドライバー)が使用できる特徴があります。
用途として、様々な工具で締結できるため、現場でよく組替するような部分(作業台車のL字鋼など)で使用されます。
呼び径 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
---|---|---|---|---|---|
頭部二面幅 | 5.5 | 7 | 8 | 10 | 12 |
頭部高さ | 2 | 2.8 | 3.5 | 4 | 5.5 |
よび長さ(推奨) | 6-12 | 5-40 | 5-40 | 8-70 | 12-70 |
よび長さ(ミスミ) | 4-20 | 4-100 | 5-100 | 6-100 | 10-100 |
六角ボルト
外径に六角がきってあるボルトです。小ねじと違いボルト中心に肉があるため強く締め付けることができる特徴があります。また、スパナやメガネレンチで横から締め付ける/六角ソケットで上から締め付けるなど様々な締め付け方ができる点も特徴です。
こちらもフランジ付きタイプが存在しています。ワッシャーなしで座面の陥没を防ぐことができます。
呼び径 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 | M10 | M12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
頭部二面幅 | 5.5 | 7 | 8 | 10 | 13 | 17 | 19 |
頭部高さ | 2 | 2.8 | 3.5 | 4 | 5.5 | 7 | 8 |
よび長さ(推奨) | 5-30 | 6-40 | 8-50 | 8-70 | 12-100 | 14-100 | 16-140 |
よび長さ(ミスミ) | 3-60 | 4-150 | 5-150 | 5-200 | 6-400 | 10-400 | 10-500 |
六角穴付きボルト
円筒のねじ頭に六角穴があいているボルトです。(別名キャップボルト)ネジ穴に合わせた六角レンチを使用して締め付けるためねじをなめにくい特徴があります。(六角ボルトのように、モンキーレンチで締め付けてなめるおそれがない)また、六角レンチ締め付けのため狭い場所での締め付けが可能であるとともに、上からも横からも締め付けることができます。そのためFA関連で強度材を締め付ける際は六角穴付きボルトを使用するケースが非常に多いです。ただし、逆に締め付けることができる工具をたくさん持っていなければならない点がデメリットです。
六角穴付きボルトには、皿小ねじ同様に皿ねじタイプも存在しています。
また、ザグリができないケースで使用される低頭や超低頭の六角穴付きボルトが存在します。ねじの呼び径に対して六角レンチ穴が小さくなる、かつ座面が薄くなるため締結力は低下します。
呼び径 | M2 | M2.5 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 | M10 | M12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
頭部径 | 3.8 | 4.5 | 5.5 | 7 | 8.5 | 10 | 13 | 16 | 18 |
頭部高さ | 2 | 2.5 | 3 | 4 | 5 | 6 | 8 | 10 | 12 |
よび長さ(推奨) | 3-20 | 4-25 | 5-30 | 6-40 | 8-50 | 10-60 | 12-80 | 16-100 | 20-120 |
よび長さ(ミスミ) | 2.5-40 | 3-50 | 3-150 | 3-150 | 4-280 | 5-260 | 8-300 | 10-370 | 12-500 |
二面幅(六角穴) | 1.5 | 2 | 2.5 | 3 | 4 | 5 | 6 | 8 | 10 |
その他特殊ねじ
ちょうボルト
工具レスで締め付けることができるボルトです。プレスタイプ(3種)と角形タイプ(2種)が一般的に流通しているちょうボルトです。後述の一般的なローレットのつまみねじより、手動で強い締付け力が得られます。非推奨ですがモンキーなどの工具で、場合によっては増し締めすることができる点が特徴的です。
呼び径 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 | M10 | M12 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
ちょう部幅 | 17 | 17 | 21 | 27 | 31 | 36 | 48 |
頭部高さ | 9 | 9 | 11 | 13 | 16 | 18 | 23 |
よび長さ(推奨) | 5-30 | 6-40 | 8-50 | 8-60 | 12-80 | 15-100 | 20-100 |
よび長さ(ミスミ) | 6-30 | 6-40 | 6-65 | 10-100 | 10-100 | 15-100 | 20-100 |
つまみねじ
ちょうボルトと同様に工具レスで締め付けることができるボルトです。すべて金属でローレット加工されたねじや、樹脂ハンドルタイプのねじが存在します。ちょうボルトとことなりモンキーなどで強く締め付けにくい点に注意です。ちょうボルトとより円周径が小さいことが多いので、小さなスペースに採用されます。
アイボルト
アイ(目)があるボルトという意味から、ねじ頭に丸い穴がありフックを取り付けて重量物の持ち上げに利用されるボルトです。サイズにより使用荷重が決められています。機械装置の搬入用に機械装置の上部や側面に適宜取り付けられている(または取付可能なねじ穴があり適宜アイボルトを取り付ける)ケースが多いです。
止めねじ
ねじの先端を押し付けてものを固定するためのねじです。またの名をいもねじと言います。一般的に六角レンチで締め付けることができるようになっています。先端部は平先、とがり先、くぼみ先、丸先などの種類があります。
くぼみ先が一般的に使用される止めねじです。平先は止め部に傷をつけたくない場合(繰り返し取り付けする場合)に使用され、とがり先は止め部に深く入り込み取り外しをしない止めに使用します。平面が相手でない場合は丸先を使用します。
用途としてはモーターのシャフト部の固定や、交換ジグ(NC旋盤のツールホルダ)の止め部分で使用されます。
呼び径 | M1.6 | M2 | M3 | M4 | M5 | M6 | M8 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
二面幅(六角穴) | 0.7 | 0.9 | 1.5 | 2 | 2.5 | 3 | 4 |
よび長さ(推奨) | 2-8 | 2-10 | 3-16 | 4-20 | 5-25 | 6-30 | 8-40 |
よび長さ(ミスミ) | 2-8 | 2-16 | 2-40 | 3-55 | 3-60 | 4-100 | 5-100 |
座金入りボルト/ねじ
各種ボルトねじの転造による製造工程前に座金を入れておくことでボルトと座金が一体となったボルトです。組み付け時に組み付け忘れが防止できる点に大きなメリットがあります。自社製品などで座金が必要な場合は、この部品を使用することで組み間違え対策工数を低減することができます。
いろいろなねじを紹介いたしましたがFA関連で一般的な締結であれば、強度やなめ防止のため六角穴付きボルトをオススメします!スペースの問題、組付けの工具の関係がありますのでその他様々な事情を考慮して快適なねじチョイスをしていきましょう!
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