前回の続きです。
空圧の制御の要 電磁弁の説明を続けます。
電磁弁について以下に分けて説明を行います。
- 電磁弁とは?
- 電磁弁によってできること
- 出入口の種類
- 弁の種類
- 制御方法の種類
- 使用電圧の種類
今回は4について説明をします。
弁の種類
弁の種類?と言われても、なんの話?となりますね。
例えば2ポート弁は2ポート弁でしょ!となりますがその2ポート弁の弁の作動方法には以下のような種類があります。
- 直動式
- パイロット式
それぞれの特徴について見ていきましょう。
直動式
文字を見たとおりに直接何かしらをする弁であることは、すぐにわかります。
実際には直接バルブの弁体を電磁コイルの力だけで開ける弁となります。
弁体とは弁の開閉をする部分です。相手側を弁座とも言います。弁体と弁座が合わさり空気の流れを止めています。
参考写真は以下の通りになります。
直動式の弁は空圧の大きな力を受ける弁体を電磁コイルの力だけで動かすことになるので、比較的大きな電力を消費します。
空圧回路図だと以下のような部分が直動式を表しています。※今回2ポート弁のイメージ図です。
前回はあまり注目しなかった点ですが、この記号が直動式を表しています。
その他特徴として、”電磁コイルの大きさ”と”オリフィスという弁座の直径”と”使用圧力”に相関関係があります。例えば【大流量を流したい場合はオリフィスを大きくする。その結果使用圧力が下がってしまう。使用圧力は維持をしたいので電磁コイルを大きくしなければならない。】というような要領です。
パイロット式
パイロット式と言われましても…飛行機でも飛ばすんですか?となりますが、どちらからというと先行みたいな意味合いからパイロット式と呼ばれています。とても簡単に噛み砕いて言うと、パイロット弁という小さな弁を先行して動かすことによって、その空気の力で大きな弁を動かし動作する弁となります。
違う言葉で言い換えると電磁力の力で空圧の力を得て結果的にメインの弁を開閉する弁です。
参考写真は以下の通りになります。
空圧回路図だと以下のような部分がパイロット式を表しています。※今回2ポート弁のイメージ図です。
直動式に少し毛が生えたような記号ですがこの記号がパイロット式であることを表しています。
なんでこんな回りくどいことをするのでしょうか。なぜなら電磁コイル直接の力ではなく空気の圧力を利用することで、小さな電磁コイルで動作することができ、結果的に電磁弁自体を小型化省電力化することができます。
なんかパイロット式のほうが小型化できるしそれなら全部の弁をパイロット式にすればいいんじゃないの?となりますが、パイロット式にも以下のような弱点があります。
- 逆方向に空圧を通すことが確実にできない。(直動であれば圧力差を考慮すればある程度は可能)
- 順方向でも低圧(一般に0.01MPa~0.1MPa以下程度)では作動しない。
両方ともパイロット弁が作動しないことが原因となります。まとめるとパイロット式は低圧ではなく、順方向にのみ空気が流れる場合のみ使用することができます。
今回はよく使われる内部パイロット式についてお話をしました。パイロット式には外部パイロット式も存在しますが、今回割愛します。
弁の種類のまとめ
ええいしゃらくせい!ととりあえず2つの特徴を表にまとめます
弁の種類 | 直動式 | パイロット式 |
---|---|---|
価格 | 少し安い | 少し高い |
流れ方向 | 順逆両方向可 | 順方向のみ |
最大流量 | 小 | 大 |
最低使用圧力 | なし | あり(0.01MPa~0.1MPa程度) |
消費電力 | 大 | 小 |
用途 | エアーブロー/出入口双方向に流れる配管/圧力が低い配管の制御 | エアーブロー/流れ方向が一定の配管/シリンダ制御(供給方向が一定のため) |
色々話をしましたが、実際に使う目線で行くと
順方向逆方向に流す、低圧を制御するときは直動式
それ以外(+シリンダ制御)はパイロット式
が一番簡単な使い分けかなと思います。
どっちタイプの電磁弁を使えばいいかわからなくなったときは、最後のまとめだけでも覚えておくと簡単に選定できます!次はシリンダ制御で必要となる制御方法の種類を紹介します。
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