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空圧回路/#6 空圧の制御 電磁弁の制御方法の種類

BuYS管理人
BuYS管理人

前回の続きです。

空圧の制御の要 電磁弁の説明を続けます。

電磁弁について以下に分けて説明を行います。

  1. 電磁弁とは?
  2. 電磁弁によってできること
  3. 出入口の種類
  4. 弁の種類
  5. 制御方法の種類
  6. 使用電圧の種類

今回は5について説明をします。

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制御方法の種類

制御方法の種類と題目にしましたが、制御対象はシリンダになります。シリンダを制御する電磁弁は前回のページで学んだ通り基本的に5ポート弁を使用します。

3ポート弁と単動式シリンダを用いて制御を行うこともできますが混同しますので今回は省きます。

この5ポート弁には様々な種類があります。大きく分けて2つの分け方があり、その2つの中で更に分類があり、それぞれの制御方法に特徴があります。

  1. 2位置
    1. シングル
    2. ダブル
  2. 3位置
    1. クローズドセンタ
    2. エキゾーストセンタ
    3. プレッシャセンタ

2位置 3位置というのは言葉の通り、弁での通り道を切り替える方法が2種 3種あるということです。

今まで扱っていたものはすべて2位置でした(通電時と通常時※バネ復帰時)が、3位置という(通電状態が2つと通常時※バネ復帰時)ものもあります。

概要はこれくらいにして詳しく一つづつ説明をしていきます。

2位置シングル

簡単に名前から紐解いていきます。

2位置とは2種類のモードがありますよと言う意味です。

そして、シングルとは通電している状態が一つしかないという意味です。

参考写真は以下の通りです。電線は1セット分出ています。

空圧回路図は下記のように表されます。

通電することによってもともと右上に流れていた空圧が左上に変わります。相手側はそれぞれの左右下の排気ポートから排気されます。通電をやめるともとの状態に戻ります。(バネによる復帰)

ここにシリンダーを重ねてみます。

通電することによってシリンダ押し方向に空圧がかかります。戻し方向の圧力は排気ポートから排気されます。通電をやめるシリンダの戻し方向に空圧がかかり、押し方向の圧力は排気ポートから排気されます。

このように通電するとシリンダが押し方向に動作し、通電をやめるとシリンダが戻し方向に動作するという制御をすることができます。これが2位置シングルの特徴となります。

2位置ダブル

2位置とは2つのモードがありますよと言う意味で先程と同様です。

シングルではなくダブルなのは通電方法の数です。(今回通電Aと通電Bと分類をします)

参考写真は以下の通りです。電線は2セット分出ています。

空圧回路図は下記のように表されます。今までと違うのはバネのようなマークがなくなり、パイロット式のマークが両方についているところです。

ここに同様にシリンダーを重ねます。

Aに通電することによってシリンダ押し方向に空圧がかかります。戻し方向の圧力は排気ポートから排気されます。通電をやめても電磁弁は動かないのでシリンダもそのまま押し方向に進んだままになります。逆にBに通電するとシリンダの戻し方向に空圧がかかり、押し方向の圧力は排気ポートから排気されます。

このようにAに通電するとシリンダが押し方向に動作し、Bに通電するとシリンダが戻し方向に動作するという制御をすることができます。また通電をやめたときは直前の状態で保持されます。これが2位置ダブルの特徴となります。

両方に同時に通電をしないようにしないとコイルが焼ける可能性がありますので、片方が通電しているときはもう片方が通電しないようにしなければなりません(電磁弁のインターロック)

3位置

3位置とは3つのモードがありますよと言う意味です。

3つのモードに移動する条件は以下の通りになります。

  1. A通電時
  2. 通常時(バネ戻り)
  3. B通電時

先程のように通常時はそのままではなく通常時にも意味のある動作が加わっているイメージを持ってください。

後ろの文言も「シングル」「ダブル」から「クローズドセンタ」等へと様変わりしています。

この文言の意味は通常時(バネ戻り時)にどういう動作をするかを示しています。

例えばクローズドということはしまっているということです。

細かいことはおいといて、参考写真を見てみます。電線は2セット分出ていますが2位置ダブルとそこまで大きな変化はないように見えますが少し複雑になっています。※右中腹にバネが入っている場所があります。

3位置の説明はこの程度にして、それぞれの電磁弁の特徴を深掘降りしていきます。

クローズドセンタ

クローズドセンタの空圧回路図は下記のように表されます。モードが3つあることが示されています。さらに両側にパイロット式のマークとバネがついています。

ここに今までの説明と同様にシリンダーを重ねます。

Aに通電することによってシリンダ押し方向に空圧がかかります。戻し方向の圧力は排気ポートから排気されます。逆にBに通電するとシリンダの戻し方向に空圧がかかり、押し方向の圧力は排気ポートから排気されます。

ここからが2位置と違うところです。通電をやめたとき電磁弁は強制的に中央になります。

クローズドセンタの場合シリンダの圧力供給がとまり、気密された状態となります。つまりシリンダロッド移動中にこの状態にすれば、シリンダ位置をその場停止することが可能になります。かつ圧力がかかっているので止まってからは簡単に移動できない程度に中間停止することができます。

このようにクローズドセンタの大きな特徴は完全中間停止することができる点です。

エキゾーストセンタ

センタ以外は同様の動作となるのでセンタについてだけ見ていきます。センタの状態の空圧回路図を見ていきます。

エキゾーストセンタの場合シリンダの圧力供給がとまり、さらに開放された状態となります。つまりシリンダロッドへの加圧がすべて開放されます。この特徴から停止時に加圧をすべてやめたいときエキゾーストセンタを使用します。

このようにエキゾーストセンタの大きな特徴はシリンダにかかる圧力を全開放できる点です。

プレッシャセンタ

最後にプレッシャセンタの空圧回路図を確認します。このタイプが正直一番使いみちが薄いタイプになります。

プレッシャセンタの場合シリンダの両側に同一の圧力が供給されます。つまりシリンダの移動が止まり自由に手で動かすことができる状態となります。(押しと引きで面積が違う場合、または重力などの外力がある場合は移動する)また、停電時(通常時)に圧力が安定して流入するため初期通電時の飛び出しを抑えることができます(メータアウトのスピコンを使用している場合を想定)。以上のようなことに留意する場合プレッシャセンタを使用します。

このようにプレッシャセンタの大きな特徴は手動動作可能中間停止ができる点です。

それぞれの使い分け

シリンダ動作に準拠してそれぞれの特徴をまとめます。

方式停電時使い道具体例
2位置シングルバネで特定の位置に移動小出力/干渉のない場合ワーク切り出し
2位置ダブルそのまま干渉がある/停電時動いてほしくない場合気密ワークのクランプ/ワークのハンド
クローズドセンタその場停止(手で動かせない)中間停止が必要な場合多点位置決め動作
エキゾーストセンタその場停止(完全フリー)手はさみなどを防止したい場合ワークのクランプ固定(手が入る可能性のある場所
プレッシャセンタその場停止(ある程度の負荷あり)制御以外でも突出動作を防止したい場合/ストッパ含む中間停止急動作で危険性のあるもの/上昇下降型動作
BuYS管理人
BuYS管理人

それぞれに特徴があるので、使い分けが大事になります。頭だけで考えていてもわからないものはわかりません。まずはそれぞれ使ってみて違いを実際に確かめてみることがいいと思います。

停電時どのような動作をしてほしいかをしっかり考えましょう!

コメント

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