単純な空圧回路では必要ありませんが複雑で高度な制御になると必要不可欠な空圧部品です!
逆止弁とは
逆止弁(ぎゃくどめべん)とは読んで字の如く
逆から入ってくる空気を止める弁です
それ以上でもそれ以下でもありません。とても単純な空圧機器です。
仕組み
しくみはとてもシンプルです。
一次側と二次側をつなぐ部分に弁が備え付けられていて、一次側から流れる場合はその圧力差(一次側>二次側)で弁を押し通して空気を供給します。※自由流方向
逆に二次側のほうが圧力が高い場合(一次側<二次側)では弁が圧力差で閉まり空気の供給を止めます。
実際の商品
逆止弁はメーカーとしてはPISCI SMC CKDなど空圧機器大手メーカーから発売されています。ワンタッチ継手→ワンタッチ継手/ワンタッチ継手→テーパめねじ/ワンタッチ継手→テーパおねじが一般的に存在します。
製品の側面に流れ方向がわかる記号(逆止弁の空圧記号)が記述されています。
改造や修正にはワンタッチ継手→ワンタッチ継手がとても手軽で重宝されます。
この記号はYみたいな方向からは○で示された弁が開く(流れ方向)と ○方向からはYで示された弁座に弁体(○)があたり弁が閉じることを示しています。
何しに逆止弁をつける?
元圧低下によって供給圧が低下しシリンダーが誤動作するとき(またはその他空圧の保持破壊されるとき)が逆止弁の出番です。
通常のシングルソレノイドやダブルソレノイド等のシリンダ推力を常に供給し続けている制御方法の場合、元圧が低下することによって推力が低下します。
推力が低下することによって、例えば気密性の確保/位置決めのズレ/把持力の低下などが生じてしまいます。
適用具体例
問題:シリンダによって出入口を止め耐水圧検査をする装置をタクトタイムの関係でダブルスロットにしたが、片方を検査しているときにもう片方の検査を始めようとすると検査中のクランプ部から水が漏れてきた。
対処:シリンダの電磁弁の供給側に逆止弁を取りつける
効果:片方をクランプしきっているときは、もう片方のクランプが開始しても逆止弁の効果でシリンダの押し方向の圧力が保持されるため、クランプ部からの水漏れがなくなった。
実際に取り付ける場所
取り付ける場所は非常に重要です。
基本的に供給元に取り付けます。電磁弁制御のシリンダ推力を保持したい場合は電磁弁の供給元に取り付けます。
間違ってもシリンダと電磁弁の間につけないようにしてください。排圧されません(笑)
設計での注意点
常に後付可能とは限らない
逆方向に流れてほしくないところ全部につければ安全かもしれません。そのため、最悪設計不良が出ても後からワンタッチ継手型の逆止弁を取り付ければなんとかなる!と考えがちですが、そんなことはありません。
例えば独立した電磁弁で制御されたシリンダでは、電磁弁の供給部分に逆止弁を取り付けることで、他の機器の作動による推力低下を防ぐことができます。
しかし、マニホールドで同一供給となった電磁弁同士では供給が同一のため、空気の奪い合いを逆止弁では止めることはできません。なぜならそれぞれの電磁弁の供給直前に取り付ける場所がないからです。
この場合は外部にエアオペレートバルブを用いて、そのエアオペレートバルブの供給部分に逆止弁を取り付けることで解決できますが不要な部品を購入する必要が出てきます。
使用可能最低圧力
動作原理からもわかるとおり、圧力差が小さいと逆止弁としての機能をなしません。一般に空圧用逆止弁だと最低使用可能圧力としては0.01MPaとなります。低圧用も存在しその場合は0.005MPaから作動します。そのため供給時に極微圧を保持したいといった場合はその手前の減圧弁前に逆止弁をつけることで逆流による圧力低下を防ぐことができます。
逆止弁ではどうにもならないとき
ダブルスロットなどによる空気競合がどうしても防げないときは、そのネックとなる工程時に流量変動が問題になる動作がもう片方のスロットで行われないようにPLC側で制御を入れます。
※ただしプログラムが煩雑になるため基本的に行いません。タクトも遅く不安定になるため最終手段となります。
逆止弁のまとめ
- 逆から入ってくる空気を止める弁
- 供給保持された空気を他の供給によって奪われたくないときに使用する
EX)シリンダによるクランプ保持など - 設計変更時供給が独立されているものは後付できるが、独立していない場合は追加が難しい
- 最低使用圧力は0.005MPa
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